熊野石蔵美術館叢書について

熊野石蔵美術館叢書1『熊野の歴史を駆け抜けた人々』

『熊野の歴史を駆け抜けた人々』刊行に寄せて(熊野石蔵美術館叢書1)

                               熊野石蔵美術館副館長  田垣内 利晃

 『熊野の歴史を駆け抜けた人々』は、私が令和2年(202 0)3月から令和5年(2023)9月にかけて、南紀新報社及 び吉野熊野新聞社に投稿した5作をまとめた小論集であ る。内容は、熊野市五郷町に関係が深く、明治時代以降の 生まれで特筆すべき人物の人間像や活動・業績などを浮き 彫りにしたもので、今年(2024)の9月に編集が完了し、よ うやく刊行の運びとなった。 私は幼少の頃より、父の実家(五郷町)にある石蔵を、私の 曽祖父友吉(画家)の画業を顕彰することを主な目的とした 美術館の整備を手伝っていた。当時住んでいた有馬町から 五郷町は、車で約30分余の時間を要した。父は、この車中や整備の合間に、ご先祖様 の話を中心に、嘗ては現在より遥かに豊かだった大又川のこと等をよく話してくれた。 私はこうした父の心底実家を愛する姿勢と行動、着々と整備されていく美術館、また、 大又川とともに、歴史ある山々などが醸し出す五郷町の風景の美しさが心に深く刻まれ ていった。さらに、父が所蔵する熊野市関係の郷土史家(岡本実・小西清次・秋田殖康) 三氏の著作にも強く惹かれるものがあり読み漁った。こうした数年に渡る経験の積み重 ねが、私に「五郷町の歴史・文化・人物研究」を志向する心を涵養した。私は今年(202 4)27歳になった。これからも多くを先人に学び、情味のある血の通った小論を書き続けていきたいと思う。

目次

●第一章 400年の時を超えて、田垣内家、山東家(三藤家)の邂逅

 一、はじめに  二、三藤家(旧山東家)について   三、三藤家の古文書について  四、三藤家との交流とこれから

 注   参考文献

●第二章 教育村・五郷の私塾「明徳館」 *地方青年の教育に身を投じた二人の僧侶、橋本喜内・等珉先生のこと

 一、はじめに   二、橋本喜内先生   三、橋本等珉先生   四、さいごに   注    参考文献 

第三章 大正・昭和の東京を駆け抜けた「熊野の詩人」中井繁一の生涯(公開中)

 一、はじめに   二、出生から上京に至るまで   三、上京、中井の活動 四、中井の3冊の著作、中井関係の記述

 五、富ノ澤麟太郎との出会いと別れ  六、尾形亀之助と野村吉哉との関係 七、湯谷・瀬戸家と中井繁一

 八、晩年の中井と角川源義  九、さいごに  注  参考文献

●第四章 明治維新を駆け抜けた田垣内松之助・富吉父子の働き

 一、はじめに  二、田垣内松之助【村長として】  三、田垣内松之助【尾崎行雄(咢堂)との交友】 

 四、田垣内松之助【五郷郵便局開設】 五、田垣内富吉【松之助の事業を承継】

 六、田垣内富吉【新宮町での富吉の働き】 七、田垣内富吉【晩年の富吉】  八、おわりに  注   参考文献

 田垣内松之助・田垣内富吉略年表

●第五章ローマ字運動に邁進した熊野の詩人・中井繁一の生涯

 一、はじめに  二、「ローマ字世界」への投稿 三、五郷ローマ字会

 四、『KUMANO KAIDOO 』(詩集熊野街道)の上梓 五、五郷ローマ字会の合同口演(講演)会

 六、故郷に残る中井の書籍『KUMANO KAIDOO 』 七、おわりに 注  参考文献 


熊野石蔵美術館叢書2、3 『中井繁一詩文集』一、二について

中井繁一詩文集 一 目次

第一章 ローマ字運動に邁進した熊野の詩人・中井繁一の生涯

第二章 詩集 熊野街道

 吉野街道/心/千鳥/故郷へ旅立つ妻を送って/たたかい/西の国へ/都の友に/葉巻

第三章 詩集 ゼリビンズの函

 夜の風景/糖瘡悲歌/嫉妬/黒枠の葉書を前に/野火/乾ける毒皿/眠れる子等/初夏/窓/銀杏の実と子供/

 緑蔭映帆/ゼリビンズの函/別れ/あはれ旅人/白く冷い墓石に凭れ/潮の音/たてつけの悪い木戸/

 紀州熊野に帰りて詠める/ふるさとの幼き友へ/道辺の石/市房山の麓を思う/断章

第四章 歌集 芋と鼠っ子

 十三年ぶりの帰省/多摩川べり/指/日比谷音楽堂/品川の海/家の鼠っ子/おそなえ/文楽所見/信州の旅/

 聲/震災記念日/渋谷町名/どぜう汁/蟹のはう音/にごり酒/にごりざけ/顔/かけとり/ひつき/連れ立つ山/

 夢の家/母の上京/壁ひとへ/島の二ケ月/熊野風景/吉野路

中井繁一詩文集 二 目次

第五章 「ローマ字世界」所収中井繁一文集

 読者文芸/五郷ローマ字会の規則/元寇の戦い/郵便局と漢字(寄文)/ローマ字便り/

 五郷ローマ字会便り/五郷ローマ字会便り/五郷ローマ字会便り/

 五郷ローマ字会の知らせ 新しく選ばれた幹事/日本の人には大きな発明ができないか?(寄文)/ 

 「ローマ字世界」に取り入れる漢語について/五郷ローマ字会の盛んな講演会/

 新参者の詩一つ/ペスト/ネズミが十銭/揺るる心/とんぼ/岩清水/もぐら餅/襦袢

第六章 中井繁一文集・口語歌集

 はしがき/自序/跋/夏から秋へ/私は新参の郵便夫で御座る(一)/『月に向って』の著者と私/

 私の郷国に死んだ富ノ澤麟太郎/鳴海要吉氏歌集「土にかへれ」合評/橡の実/暴風雨後/とちの実/

 滅字の灰皿/独逸印刷芸術展を観る/口語歌/古時計

第七章 中井繁一小説集

 蜥蜴/蜜蜂と権太の馬/潮

第八章 「新緑」掲載・中井繁一作品

 君と我=鳴海氏にささぐ=/奔流に棹さす/坊作/母来る/かけとりの歌/新緑抜抄十二月より/

 新緑抜抄四月より/冷床もぐる/一首選詠九月より/ほそまゆ/年のくれ/ツェッペリン号が来た/文選

第九章 紀南新報掲載文集

 巣鴨より(一)/巣鴨より/筆のいたづら/筆のいたづら/二人の愛児/都会相(一)/都会相(二)/

 続都会相

第十章 中井繁一著作序文・消息文・回想文

 世間のローマ字/世間のローマ字/世間のローマ字/『KUMANO KAIDOO』はしがき(鳴海要吉)/

 「紀南新報8月13日付記事」/伊勢新聞のローマ字欄/中井醒郎氏の詩集熊野街道/

 『ゼリビンズの函』序文(佐藤春夫)/『ゼリビンズの函』終りに(鳴海要吉)/

 『芋と鼠っ子』序(鳴海要吉)/「紀南新報9月4日付記事」/「紀南新報9月20日付記事」

第十一章 中井繁一作品目録

第十二章 中井繁一アルバム

第十三章 中井繁一・さめらう書房書誌

第十四章 参考文献

第十五章 ローマ字運動に邁進した熊野の詩人中井繁一の生涯

第十六章 中井繁一詩文集解説



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